実際に公表された新審査機銃は前回の記事でご紹介した案文のうち一部しか反映されていませんでした。そこで、実際に改訂された審査基準と案文を見比べましたので、内容について説明させていただきます。また、改訂の背景についても調べましたのでご紹介いたします。

 なお、新意匠審査基準(平成31年1月9日改訂版)は、平成31年1月10日以降に審査される意匠登録出願に適用されるそうです。

 改訂案では、大きく分けて下記3つが議論されていました。

 1.図面要件の簡素化
 2.部分意匠と全体意匠の関係の運用変更
 3.一物品一意匠の考え方の明確化と運用変更
 
 具体的な内容は下記の特許庁HPを参照すると、イメージが掴みやすいので一度ご覧ください。
参考:審査基準改定案まとめ

 そして、結論から言うと最終的に改訂されたのは3.「一物品一意匠の考え方の明確化と運用変更」のみのようです。

 変更箇所をハイライトしたバージョンは見つかりませんでしたが、下記リンクの改訂箇所を参照すれば確認できます。
リンク
 第5部「一意匠一出願」
 第7部第2章「組物の意匠」
 第13部別添「組物の構成物品表」

 それぞれの考え方は、上記でご紹介したまとめ案を見た方が分かりやすいです。

 さて、先走って全体意匠と部分意匠についての先後願判断開始という誤報を出してしまった責任を感じて、今回の改訂の背景についても調べてみました。

 論文式試験で出してくるようなことはないとは思いますが、知識としての参考です。
 (ハーグ協定のジュネーブ改正協定の趣旨と絡めて出して来たら、相当難問となります)

 1.図面要件の簡素化
【背景】
 一言でいうと、国際調和です。
 諸外国では6面図は必須とされていない。ハーグ協定でも1図以上とされており、国際意匠登録出願として日本に入ってくる出願で拒絶通報しなくてはならない。創作された意匠が理解可能なのに6面図を求めるのはユーザ負担大。
 また、諸外国では図面の簡単な塗りつぶし等で部分意匠が取得できるため、国際調和の観点で部分意匠の欄をなくすことを検討。

 ⇒更なる検討が必要と改訂見送り

 2.部分意匠と全体意匠の関係の運用変更
【背景】
 一言でいうと、実質的なダブルデザインの防止。
 全体意匠と部分意匠とを厳密に峻別する必要が生じ、結果として部分意匠の意匠登録出願について、願書及び図面等の記載要件に、全体意匠の場合における要件に加えて多数の付加的な要件を設けなければならず、ユーザーに過度の手続要件を課すこととなっている。
 そのため、部分意匠の欄の表示をなくすのに合わせて、全体意匠と部分意匠の先後願の判断をしていくということだと思われます。
 
 ⇒上記1.が見送りとなったため見送り(だと思われます)

 3.一物品一意匠の考え方の明確化と運用変更
 ・意匠の明確性に支障の無いケースについては、拒絶理由の対象としないよう改善。(赤色の花瓶でも拒絶しない)
 ・知財高裁「容器付冷菓事件」に基づく、審査基準の明文化(容器付きゼリーも一物品と明確化)
 ・現状では当該構成物品表の「構成物品」の欄内に掲げられる全物品を少なく とも各一品ずつ含むものでなければならないことから、多様化する意匠創作の実態、 に則していないため改善。
 
 詳細については、こちらを確認ください(リンク)。

 というわけで、結果的には一物品一意匠(組物含む)の考え方の明確化だけが今回の改訂内容になります。


無料で5年分の弁理士短答式試験が学習できるWEBアプリ

無料弁理士講座 タダ弁(https://www.tadaben.com)



にほんブログ村 資格ブログ 弁理士試験へ